企業の盛衰は「有効供給の有無」によって決まる
「日本でいちばん大切にしたい会社」のシリーズで有名な坂本光司氏の「経営者の手帳」では、経営するために大切な100の言葉を紹介しながら、短い文章で経営の急所を突いているのが、小気味よい。
特に私の気に入ったのが次のフレーズだ。
企業の盛衰は需要の原理ではなく、
供給の原理、つまり
「有効供給の有無」によって決まる。
大体、自社の業績が悪いことを人のせいや景気のせいにしている経営者は、それ以上には伸びていかないものだ。
坂本氏が一貫して主張しているのは、好不況にかかわらず好業績を持続している企業が数多く存在しているということである。
同氏の紹介してきた日本理化学工業や沖縄教育出版などの「日本でいちばん大切にしたい」会社に共通していることはズバリ、供給の原理、有効な供給をしている点に尽きる。
これは経営者だけのチェックリストではない。
どんな個人、家庭、組織、団体、国にしても、問われるべきは一人でも多くの人にとって「有効な供給」をどれだけ与えたか、という自分自身のあり方なのである。
人はとかく内部にある問題を直視せず、人のせいや社会のせいや、宿命のせいにする人もいるが、成功者に共通しているのは自己責任の範囲が通常の人々比べて飛び切り広いということである。簡単に言うと、自己責任感が強くなればなるほどそれだけ成功する確率が増えていく。
なぜなら自己責任感の強い人は、常に己を見つめなおして改善し、そして己の器を無限大にまで拡大していくからである。
ちなみに坂本氏は本当の企業経営とは「5人に対する使命と責任を果たすための活動」であると定義し、使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」であると記している。その5人とは--
- 社員とその家族
- 社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族
- 現在顧客と未来顧客
- 地域住民、とりわけ障害者や高齢者
- 株主・出資者・関係機関
それでは有効な供給を行うにはどうしたらいいのだろうか。
そこで登場してくるのがドラッカー関連の本だ。
ここでは詳しいことには触れないが、「有効供給」に関連していうならば、ドラッカーの強調するのは次の三点である。
- 自分の強みに気づいてその得意とすることを毎年、改善し続けること
- 強みを生かす大きな目標を掲げること
- 大きな変化の中で革新することを学ぶこと
この3つのことに責任を持って常に改善、向上し続けることが、成功への王道であるというのである。例えば以前起きたチリの落盤事件において、リーダーがドラッカーのマネジメント理論を実際に応用したことは記憶にとどめておきたい。
最後に毎日、「有効供給」を行なうための魔法を紹介しよう。
これは成功哲学の布教師ともいえる米国の小説家オグ・マンディーノが、自身の人生と成功を振り返りながら教えているとっておきの方法である。
「今日一日かぎりの命」のつもりで人に接する。
今日から、出会う人はみな--
友達も敵も、愛する人も見ず知らずの人も、
夜中の12時までに死んでしまうものとして接する。
どれほどわずかな接触しかなくても、
一人一人にせいいっぱい
思いやりといたわり、理解と愛情を示し、
見返りは期待しない--
あなたの人生はこれでもう、
今までと同じでなくなります。
この方法で坂本氏の云う大切な「5人」の皆さんに幸福感を味わっていただく、これこそが真の「有効供給」であるといえるのではないだろうか。
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