神秘の夜の旅・・総集編
「叡知の哲学」に続く若松英輔さんの著作「神秘の夜の旅」が出た。
「叡知の哲学」が井筒俊彦という哲学的巨人の評論だったのに対して、今回は越知保夫という1961年、49歳で逝った詩人の評伝になっている。
それも小林秀雄、井筒俊彦、マルセル、パスカルと云った大思想家たちを紹介しながら、この詩人の思想の精髄を見ようとしている。
ちなみに越知はパスカルの「パンセ」を座右の書にしていたそうで、次のように書いている。
・・「パンセ」を読んでいると私は無数の謎に四方から見入られている心地がする。・・「小林秀雄論」
これは、一種の書物による「実在体験」とも云える体験であり、実在という本物は自分を超えた「向こう側」から現れるのだ。
越知の小林秀雄論などが優れているのも、小林自身の「実在体験」を詩人の直観を通して浮き彫りにしている点である。
とすれば、若松さんによる越知の評論を通して、小林秀雄や井筒俊彦、マルセルといった超一流の哲人たちの眼差しを感じることができるのなら、これも一種の「実在体験」だと云えるだろう。
若松さんという「霊性を探求する気鋭の批評家」に導かれて、「神秘の夜の旅」に出発してみよう。
神秘の夜の旅 著者:若松 英輔
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