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2011年8月10日 (水)

叡知の哲学・・60

 ベルクソンにとって、「笑い」とは「自動的なもの、こわばったもの、出来合いのものに対する反撥、生の自発性、流動性への合流」(林達夫氏=「笑い」の訳者)である。

 すなわち「笑いの哲学がベルクソンその人の哲学にほかならず、笑う人間は自らそうとは気付かずして一個のベルクソニアンにほかならぬ」ということになる。

 私たちはその深い意味を知らなくても、「笑う」ことによって、「生命の大いなる創造の流れ」に合流することができるのである。

 また「笑い」は実は宗教的な悟り、気づきとも深い関係があるように思う。

 特に「笑い」には自分の人生を少し離れた場から見て、その大元にあるところの自分の信念や考え方のクセに気づく効果があるのではないか。

 ベルクソンの言葉をもう一度、引用してみよう。

 引き離れてみたまえ、われ関せずの見物人となって生に臨んでみたまえ。

多くのドラマは喜劇に変ずるであろう。・・「笑い」

 私たちが悲劇と思っている事も、一時の出来事に過ぎず、より広い視野から見て笑うとき、それは喜劇にとって代わる。

 つまり、「笑い」には、凝り固まった観念を別の角度から見直させてくれる解放作用があるのである。

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 「笑い」は解放への道につながる・・

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