「精神のエネルギー」について・・4
遺伝子研究の村上和雄・筑波大学名誉教授は、魂の領域や神の領域まで突っ込んだ論を展開しているが、これから人類は「精神のエネルギー」に注目する「知ラレザル大陸」(ベルクソン/「道徳と宗教の二つの源泉」)も視野に入れた「包括的なパラダイム」を構築していく必要があると思う。
ベルクソンが言うように近代科学は計量・分析という手段によって「物質的大陸」というごく限られた対象だけを相手にしてきたが、それ以外の心身を超えた「精神的エネルギー」、つまり魂のことは無視してきた。
しかしながら、人類が真に宇宙の仲間入りをしていくためには、魂の問題や神の問題も避けては通れないだろう。
なぜなら、「この宇宙がどうして出来て、なぜ私たちがここにいるか」という本源的な問いかけに答えることができるようになるまでは、本当の意味でのユニバーサルな全体観を確立することはできないからだ。
その意味では、最先端の科学の研究と古代からある形而上学や東洋の精神世界との符合は興味深いものがある。
たとえば脳科学者のジル・ボルト・テイラーさんの「奇跡の脳」という著作は、37歳の時に脳卒中に倒れた女性脳科学者の再生と気づき=悟りの物語が書かれており、大変興味深いものがある。
テイラーさんの言葉を借りるならば、脳卒中で「左脳マインド」が停止したときに、「右脳マインド」にスイッチがオンになって「深い心の安らぎ」を感じたというのである。
脳卒中により、わたしは内なる自分を発見しました。
ほんの少し、考え方や感じ方を変えるだけで、深い心の安らぎが得られることに気づいたのです。
安らぎを体験するといっても、人生がいつも歓喜に満ちあふれている、という意味ではありません。
あわただしい人生の、あたりまえの混乱の中にあっても、心の歓びに触れることができるという意味なのです。・・新潮文庫「奇跡の脳」
・・次回に続く
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