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小林秀雄の「お月見」・・

   小林秀雄に「お月見」という短いエッセーがある。

 ある人が京都の嵯峨で月見の宴をしたところ、たまたまスイスから来た客人が幾人かおり、その一座の雰囲気がどうしても理解出来なかったという。

  そのうちの一人が、今夜の月には何か異変があるのか・・と茫然と月を眺めている隣の日本人に、怪訝な顔つきで質問したという。

 この日本人同士でなければ、容易に通じ難い、自然の感じ方のニュアンスは、在来の日本の文化の姿に、注意すればどこにでも感じられる。

 

・・意識的なものの考え方が変っても、意識出来ぬものの感じ方は容易には変らない。

 

いってしまえば簡単な事のようだが、年齢を重ねてみて、私には、やっとその事が合点出来たように思う。

 普段、私たちも意識していない「自然の感じ方」がふと顔を出すことがあるものである。

 特に桜の舞い散る今の季節は、どこか落ち着かなく、そして古代の日本人とも心が通じていることを感じることがある。

 意識的なものの考え方が変っても、意識出来ぬものの感じ方は容易には変らない・・これは蓋し、名言である。

 

 ちなみに自然の中で座禅することの多かった明恵上人には、月のことを詠んだ歌が多い。

 くももなく 澄める心の 輝けば 

   わが光とや 月思うかな

 もはや月が自分なのか、自分が月なのか、その境目が消えて、心が虚空を巡っているようである。

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    東京の月を愛でる・・

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