« 叡知の哲学・・12 | トップページ | 叡知の哲学・・13 »

批評の神髄・・36

51m4qmoi15l__ss500_

 音楽の美しさに驚嘆するとは、自分の耳の能力に驚嘆する事だ、そしてそれは自分の精神の力に今更のように驚く事だ。

空想的な、不安な、偶然な日常の自我が捨てられ、音楽の必然性に応ずるもう一つの自我を信ずる様に、私達は誘われるのです。

・・小林秀雄「表現について」

 
 小林秀雄は、何よりも「聴く」人ではなかったか。

 モーツアルトなどの音楽だけではない。

 ゴッホの絵も、ベルクソンや宣長の文章も、彼は繰り返し「聴く」人であった。

 天才たちの肉声が聞こえてくるまで、彼はひたすら待ち、そして「聴く」。

 そこでは空想的な、表面の自我は捨てられ、天才たちの声をただ「聴く」のである。

 聴く」とは、天才たちの肉声に共鳴し、共感すること。

 そして「共感」はやがて「同感」へと昇華して、生きた言葉が響き出す。

 小林秀雄の批評とは畢竟、天才やその作品と一つになって奏でる言霊でもあったのだ。

|

« 叡知の哲学・・12 | トップページ | 叡知の哲学・・13 »

小林秀雄」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/143752/40395625

この記事へのトラックバック一覧です: 批評の神髄・・36:

« 叡知の哲学・・12 | トップページ | 叡知の哲学・・13 »