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逆境で生まれる新文明・・18

☆「知ラレザル大陸」(ベルクソン)を求めて

 前回、触れた村上和雄教授は、魂の領域や神の領域まで突っ込んだ論を展開しているが、逆境から生まれる新文明ににあっては、このような「知ラレザル大陸」(ベルクソン/「道徳と宗教の二つの源泉」)も視野に入れた「包括的なパラダイム」を構築していく必要があると思う。

 ベルクソンが言うように近代科学は計量・分析という手段によって「物質的大陸」というごく限られた対象だけを相手にしてきたが、それ以外の心身を超えた「精神的エネルギー」、つまり魂のことは無視してきた。

 しかしながら、人類が真に宇宙の仲間入りをしていくためには、魂の問題や神の問題も避けては通れないだろう。

 なぜなら、「この宇宙がどうして出来て、なぜ私たちがここにいるか」という本源的な問いかけに答えることができるようになるまでは、本当の意味でのユニバーサルな全体観を確立することはできないからだ。

 その意味では、最先端の科学の研究と古代からある形而上学や東洋の精神世界との符合は興味深いものがある。

 たとえば村上教授の場合は、実際の遺伝子を研究する場がある気づきをもたらしたという。

  同教授によると、ヒトの遺伝子情報(ゲノム)を解読する技術も確かに凄いが、もっともっと凄いことがあるという。

それは読む前に書いてあったということです。書いてあったから読めるのです。しかし、誰が書いたのでしょう。それは、自然が書いたのです。では、自然はどのようにして、この万巻の書物に匹敵する情報を書いたのでしょうか。

しかも、一ゲノムの重さを計算して私は驚きました。一ゲノムは、細胞にある核の中の染色体というところにあります。・・実に一グラムの二千億分の一のスペースに、三十二億の情報が書いてあるのです。

これを想像しやすくするために、全世界の人々の設計図を集めたとしましょう。すると、世界中のヒトのゲノムが約六十九億集まります。驚くべきことはには、このすべてが、お米一粒の中に入るのです。

これは信じがたいことです。つまり、ヒトの一ゲノムの重さは、お米一粒の六十九億分の一に匹敵するのてせす。しかもそれは、単に情報が書かれているだけでなく、それを間違いなく動かしているのです。

・・「人を幸せにする魂と遺伝子の法則」

 人類はこれまで近代科学の手法で細かく分けて分析して世界を「読む」ことに全力を注いできたわけだが、それでは「誰がその遺伝子の記号を書いたのか」という「第一原因者」については追求してこなかった。

 この「読む」方から「書いた」方への立場の転換こそが、「包括的なパラダイム」を生み出す第一歩になる。

 誰が遺伝子の記号をそもそも「書いた」のか。

 誰が物理的法則をそもそも「デザインした」のか。

 この「第一原因者」の追求と宇宙の一貫性の研究こそが、これからの科学と哲学の一大テーマになってくるであろう。 

 ちなみに村上教授がこの第一原因者を「サムシング・グレート」と名づけてていることは有名である。

 人間という子供の方ではなく、この「サムシング・グレート」という親の側から見るならば、この宇宙はどう見えてくるであろうか。

 人間の側から見れば、無秩序から偶然に生まれたと見える宇宙も、「サムシング・グレート」の目で見るならば、もともとビッグバンの前から驚くべき秩序や見事な調和があったかもしれないのである。

 ちなみにこのあたりの宇宙論は、村上教授の編纂された『コスモス』というアーヴィン・ラズロの名著にも詳しく説かれている。

 この『コスモス』は、現代という逆境から新文明を生み出すための基本テキストでも云うべき著作であり、一度は目を通しておきたい。

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      月からの「地球見」

 

 

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