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逆境で生まれる新文明・・3

②「自然と共生する文明」への進化

 トインビーの環境の変化に対する「応戦」「挑戦」という言葉は、「生命論パラダイム」では「共進化」とも呼び、生命哲学の元祖と呼ぶべきベルクソンは「創造的進化」と名付けた。

 特にこのパラダイムにあっては、地球をはじめとする激変する環境と吾々の文明とが「相互進化」していくものと見る。これは、進化に関する新しい考え方である。

 すなわちこれまでのダーウィン流の「環境の変化が生物の進化を促進する」という一方的な進化ではなく、21世紀にあっては逆に生物の進化が環境の変化を促進するプロセスも考慮することによって、環境と個体とが全体的な進化を遂げることを「相互進化」と呼ぶのである。(『生命論パラダイムの時代』参照)

 具体的には、21世紀予見される地球環境の激変が、環境意識の高揚を図るとともに環境技術の発達を促進し、その発達がまた地球環境を変えていく可能性があるのである。

 その意味では今回の大震災は、まさに環境の激変であり、私たちの文明の方も「創造的進化」せざるを得ない壮大なエネルギーを放出したとも言えるのだ。

 より具体的には、自然から奪うのではなく、「自然と共生する文明」へと私たちの文明を進化させることが望まれているのではないか。

 先の日経のコラム「トインビーをもう一度」では次のような提言がされている。

「原子力はつなぎのエネルギー」とみる小宮山宏三菱総研理事長(前東京大学総長)は「21世紀の半ば以降を担う自然エネルギーを加速する」よう訴える。

 太陽光、風力、バイオマスなど自然エネルギーの供給を増やす一方、スマートグリッド(次世代送電網)や、さらなる省エネで使用効率をあげる。夏場のピークをしのぐには、休暇の取り方など、ライフスタイルの転換も考えられよう。

「課題先進国」は小宮山氏の持論だ。高齢化社会にしろ、エネルギー制約にしろ、日本が直面する課題は、やがて他の国々が追体験する。日本が最初に課題解決の道を開けば、文明のリード役になれるという。

 ちなみに前にも紹介したことがあるが、竹村真一氏の提唱する文明論で言えば、石油依存の“炭素メタボ経済”から脱却するところの「太陽系エネルギー文明」へと大きく文明が進化していく可能性があるという。

 特に日本は国旗に日の丸(太陽)を掲げることもあり、積極的に太陽光発電や省エネ、脱石油時代の交通システムなどで次代の地球文明へのグランドデザインを提唱する使命があるのではないか、と氏は云う。

 また世界に向けて是非とも日本から発信すべきなのが、ダイナミックに変動する地球に適応・共生しうる強靱かつ柔らかい文明デザインというメッセージである。

 さらにこのような人類の創造性と、それによる地球と人類のポジティブな「共進化」の可能性こそ、日本から発信すべき地球文明の第三のコンセプトだと云う。

 この竹村氏の提唱するビジョンや前記の小宮山氏のエネルギー論は、「自然と共生する文明」という新しい文明論になっており、大変興味深いものがある。

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