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逆境で生まれる新文明・・2

①拡大したコミュニティー意識の誕生

 今回の大震災後におけるパラダイムシフトの一つは、「共感文明」とも呼びたい新しいコミュニティが誕生しつつある、ということである。

 今回の災害のすさまじい様子は、インターネットなどを通して瞬く間に世界各地に伝わった。その映像のすさまじに世界の人々は、まさしく震撼するとともに、過酷な状況でも、冷静に協力し合う日本人の姿に感動し、称賛のエールを送った。

 そればかりか、地球の裏側のブラジルはもとより世界中の人々が宗派を超えて真摯に祈り、アメリカ、中国、韓国、インド、トルコなどはもとよりバングラディッシュのような貧しい小国からも支援にかけつけてくれた人がたくさんいる。

 これは、おそらくインターネットが爆発的に広がる前ではこうはならなかったであろう。

 事実、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授によると、18世紀のフランスの哲人、ジャン・ジャック・ルソーは次のように語っていたという。

(サンデル教授NHK大震災特別講義から)

 私たちヨーロッパ人は日本で起きた災害にヨーロッパを襲った災害と同じだけの衝撃を受けるわけではない。・・ルソー

 

これに対してサンデル教授は次のように解説する。

 彼は、人間の共感と関心はグローバルにはならないと言っている。彼は他者へのシンパシー、共感というものはどうしても限定的なものになると言っているわけだ。

番組では、これに対して日本、アメリカ、中国の三グループに賛否を問い、意見を聞いていた。すると、ハーバード大学の女子学生ソアラ・コパティが次のように意見を述べたのだった。

【ソアラ】
  コミュニケーションが発達しているこそ世界の反対側にいる人にも共感することができます。私が重要だと思ったのは、自然災害の時に私たちはコミュニティーとして一体感を持つこと、自然災害というものは人間の力を超えた者です。

 個人やアイデンティティー、国や政府、その対立を超えるものなのです。

 こうした困難があった時に、初めて私たちは気づくのです。一緒になれるんだと。グローバルなコミュニティーになれるんだということです。

 このサンデルの番組には賛否両論あるが、私自身はこのソアラの云う「世界の反対側にいる人にも共感することができます」という言葉には大きな意味があると思いたい。

 田坂広志氏によると、「共感」とは同情することでも、憐憫することでもない。「目の前の一人の人間の姿が、自分の姿のように思えること」「ここにいる誰もが被災者になったのではないか」「あの方たちの姿は実は私たちの姿ではないか」という想像力を働かせることによって、自分と他とが一つになることだという。

 とすれば、今回の大震災は日本はもとより、世界中の人々が同じ悲しみ、苦しみを共に感ずることによって、「一緒になれる」「一つになれる」ことに気づかせてくれた歴史的な出来事であったとも云えるだろう。

 ちなみにサンデル教授自身の結論は、「もしかすると今回の危機に対するグローバルな反応や支援の広がりは、コミュニティーの意味やその境界線が変わりつつある、広がりつつあることを示しているのではないだろうか」「より拡大したコミュニティー意識、そこに向けた始まりなのかも知れない」というものであった。

 惑星間の視点から言うと、地球上の人類は、「分離文明から「共感文明」へと急速に移行しつつあるのであり、「共感」こそは人類が本当の自分に覚醒する天与の贈り物なのである。

Key

 

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