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小林秀雄とガブリエル・マルセルの対話・・2

 マルセルと小林の対談は、鎌倉の小林邸で行われたこともあって、まず自然談義から始まっている。

 当時、鎌倉の高台にあった小林邸からは海がよく見え、天気の良い時には大島もよく見えたようだ。

 マルセルはその景色が素晴らしいことに触れ、「光が大変きれいです。神秘的ですね。ここでは鳥が鳴きますか?」と質問している。

 小林は近くに巣箱があることや、鶯が部屋の傍らで死んだことやその原因が農薬のついた実か何かを食べたのでしょう、と推測している。

 続いてマルセルの「人間、それ自らに背くもの」の本を巡りながら、東西の自然観について話が展開していく。

マルセル アメリカで気づくことは、人間と自然との「結婚」がないことです。人間がしたことは、自然から生まれたのではなくて、みな持ちこまれたように見えます。それに対し、ザルツブルクのような町は、自然から「招かれ」たもの、自然の完成としての町です。これはフランスやイタリアでも同じことですが、アメリカには全然ありません。サンフランシスコは例外でしょうが。

小林 日本人の自然観には外国の人々には仲々わかりにくいものがあるのではないでしょうか。自然観というより、自然との深いアンティミテ(親密さ)が日本人にはあるのです。日本の文学は、このアンティミテを除いたら何も残らないくらいです。

 マルセルも小林の云う「日本人の自然観」に共感を表明し、それが日本で一番好きな点であり、この前の旅行でも一番感動したのは京都の修学院や伊勢神宮であり、「そこには聖なる感情があり、人間が自然と調和していることを感じました」と答える。

 このように二人は、期せずして「自然と現代文明の関係」という大きな問題に入っていくのだが、現代における哲学者の最大の責務は東西を問わず、現代において自然に還る中で「聖なるもの」を取り戻そうとすることではないだろうか。 

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