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批評の神髄・・25

 ベルグソンの哲学は、直観主義とか反知性主義とか呼ばれているが、そういう哲学の一派としての呼称は、大した意味がないのでありまして、彼の思想の根幹は、哲学界からははみ出して広く一般の人心を動かした所のものにある、即ち平たく言えば、科学思想によって危機に瀕した人格の尊厳を哲学的に救助したというところにあるのであります。

人間内面の擁護、観察によって外部に捕らえた真理を、内観によって、生きる緊張の裡に奪回するという処にあった。

・・小林秀雄「表現について」

 この小林秀雄によるベルクソン論は、そのまま小林秀雄の果たした役割とも相通じるものがある。

 小林が近代という時代において奪回しようとしたものは実に多かった。

  •  近代人が見失ってしまった大いなるものに対する畏敬の念と無私の精神。
  •  唯物的歴史観で失ってしまった歴史への敬意の念。
  •  そして近代の日本の哲学者が亡失した日本語という言霊によって哲学するという文体の奪回。

 実にこの小林という男は、多くの失ったものをただ嘆くのではなく、ほぼ独力でそれを奪回しようとした。

 その奪回のための、良き師、良き友がベルクソンであったのだ。

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