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批評の神髄・・16

 観は、日本の優れた芸術家達の行為のうちを貫道しているのであり、私達は、彼等の表現するところに、それを感得しているという事は疑えぬ。西行の歌に託された仏教思想を云々すれば、そのうちで観という言葉は、死ぬが、例えば「春風の花を散らすと見る夢はさめても胸の騒ぐなりけり」と歌われて、私達の胸中にも何ものかが騒ぐならば、西行の空観は、私達のうちに生きているわけでしょう。まるで虚空から花が降って来るような歌だ。・・「私の人生観」

 この西行の悲しみは「生命に溢れている」、と小林は云う。

 小林の批評はひたすら己を空しくして、批評の対照となる作品と共感・共鳴するところに生まれてくる。

 そしてその共感を極めるところ、わが国の芸術家にあっては、芭蕉が「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休の茶における、其貫道する物は一」と言ったのと同じく、一つの道に出ていた。

 畢竟、小林の批評は「批評道」であり、批評を通して無私を得る道でもあったのだ。

 

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